大菩薩嶺へ

2019.7.13 三連休初日の今日は、事前に調べておいてくれた大菩薩嶺に行くことに。
梅雨も明ける気配もなく、束の間の晴れ間を利用しての登山旅となった。朝5時半ごろ起床し、お昼の食材と調理器具をザックに詰め込み、出発した。時刻は7時になるところだった。渋滞の情報があり、山梨のこの大菩薩麓までは2時間はかかるとのことだった。相模原ICから圏央道/国道468号にのったところでは順調だったが、相模湖IC付近でやはり少し渋滞があった。思ったほどのロスはなく、比較的スムーズに流れていたようだった。中央道の長い長い笹子トンネルを抜け、勝沼ICで下りた。一気に視界が広がり、辺り一面ぶどう畑の風景が広がった。フルーツラインという街道のよう。たわわに実ったぶどうの景色をドライブ気分で味わった。そこを抜けると今度は「もも」という旗が目に飛び込んできた。ももの直売所が並ぶ街道に出たようだ。帰りの寄り道を見つけ一気にテンションがあがる私たち。甲州ならではの雰囲気をここで感じ、山道を目指した。大菩薩峠の登山口である上日川峠の駐車場まで、くねくねした道を急上昇。一気に1600m地点まで上った。着いたのは予定通り9時。駐車場はすでに多くの車で埋まりつつあった。車を停め、登山靴に履き替える。空は雲は多いが、ほんの少し青空が見える程度。約2か月振りの登山がここから始まった。
駐車場から少し歩くとロッヂ長兵衛という小屋が見えた。覗いてみると、1個50円と書かれた桃が!これは食べる以外ないと、主人に頼み、早速頂いてみることに。かじる度に滴り落ちる果汁とそれはそれは甘く完熟した桃でありました。モチベーションが一気に上がったところで、いざ進行。登山道に向かった。
予定通り唐松尾根コースを進むことにした。
斜面は雨で湿っており、滑らないようゆっくりと上る。進めば進む程霧は濃くなっているような感じがした。晴れた日も気持ちが良いが、これもまた新鮮でいいなと思いながら、山の空気を味わった。斜面は急になったりなだらかになったりの繰り返しで、そんなに負担もない。久し振りの感覚を取り戻しながら、前へ前へ。30分歩いただろうか。突如小屋が見えた。「福ちゃん荘」とある。本に載っていた休憩処だ。もしかして、もう着いた?私の中の安直な考えがそう言わせた。期待感が一気に増しルンルンで進んでみると、全体図を示した標識があった。見てみると現在地は山頂からは程遠い所に示してあった。「なーんだ…」。さらに追い打ちをかけるように登山客が「ここからが本番だから」と言っていたのが聞こえた。「…」一瞬凍りついた。「ここからが…」。私はもう心が折れかけていた。主人には言わなかったが、私はもうここで終わりだと思っていたのだ。まだまだあると思ってたのにもう山頂?というのと、山頂と思ったところでまだまだある。と言われたのでは偉い違いがある。私は後者の方。また私の馬鹿げた勘違いでつらい登山をすることになってしまった。ここからが本番です。聞いてください。
寝ぼけていたようだ。体を叩き起こし、いざ山頂へ。
第2の登山口からは、始めは急斜面となだらかな道が交互に続く。途中ゴロゴロと大きな岩もあれば小さな石が敷いてあり、踏み外せば少し滑ってしまうようなそんな道だった。慎重に踏みしめ、前へ前へ。1時間程進んだ所で、見通しが段々良くなってきた。来た道を振り返ると奥には霧の切れ間から大菩薩湖が見える。行く先も見通しが良く、急な道が続いているのがわかる。「これを上るか上らないかはあなた次第」もう一人の自分に試されている気がしてならない。ここまで来たら上るしかないよね。そう自分に言い聞かせ、登ることを決意した。少し上っては足を止め、水分補給。足止め、休憩。足止め、水。そんなことを繰り返し、それでも結構進んでいることがわかった。この先の頂きを信じ、次第に大きくなる岩の急斜面を進むこと30分(たかが30分と思うかもしれないがこれが結構きつい…)。やっとやっと、雷岩というポイントに到着した。多くの登山客がここで休憩をとっていた。時刻は11時。ここから山頂までは30分。道は然程険しくなく、平坦な道が続いた。途中、下山してくる年配のおじさんが「シカ…」とボソッと一言。「シカ?」内心そんなものいるわけないよ…何言ってるんだこのおじさん…と思っていたのだが、いた。少し歩いた先にいた。野ジカだった。あのおじさんがつぶやいていたシカだった。この目で見た。(ごめんなさい。そしてありがとうございます。)カメラに収めたところで、山頂に向かった。針葉樹に覆われたほぼ山頂という標しかないようなポイントだったが、私たちは記録として写真に収めた。パシャリ。

     
大菩薩山頂

来た道を引き返し、再び雷岩まで。諸事情によりここでの昼休憩は断念し(諸事情:お花を摘みに行く事情)、いざ妙見ノ頭まで。ごつごつした岩が簡単には行かせてはくれないのだが、ここから見る景色は絶景。尾根の稜線が綺麗に見え、先の峠の小屋まで続く道がはっきりと見える。霧がなければ富士山や南アルプスが見渡せたのだろうけど。険しい岩場の下りも景色に癒されながらの30分はあっという間だった。お手洗いだと思った小屋は、単なる休憩所だった時の失望感たらないが、景色は絶景だったので、次の大菩薩峠までの道のりも苦ではなかった。稜線も堪能し、諸事情の目的も果たしたところで、お昼休憩をとることにした。

     
大菩薩稜線

定番の日清カップヌードル(しょうゆ・シーフード)に今回はカレーピラフをメスティンで調理し食べた。蒸らし時間が短すぎたのかちょっとお米に芯が残るという失敗もありましたが、なんとかお腹を満たし(〆のコーヒーはおいしい(*^_^*))、天候もあやしくなってきた所で下山することに。
比較的整備された道で歩きやすいのだが、雨が降り始め、私たちは歩を早めることにした。徐々に雨足は強くなり、一気に不安になる。これ以上降られたら…、そんな中遭難してしまったら…、そんな考えだけが先立ち、全く余裕がなくなるという事態に陥ってしまった。周りの景色も見る余裕もなく、人気のない薄暗い山道をひたすら歩き続けていた。いつもの下山の鼻歌も当然あるわけもなく、ただただ無心・無言に。そして1時間歩いた先に、先ほどの福ちゃん山荘(山頂と間違えていた所)に辿り着いた。ここまで来ると登山客もちらほら見え、不安は安心へと変わっていた。この分岐点からは来た道を下るだけ。そう思っていたのもほんの束の間。車道と山道に分かれ、山道に入った途端、雨と霧により表情が全く異なる山道・遠ざかる人気に一気に不安になった。熊に出合いそうな予感(出合ったことはないが…)。そんな恐怖の中で気持ちもまた暗くなっていた。とにかく怖い。ふと振り向いた先に熊がいたら…襲いかかってきたら…。頬を引っ叩くかそれとも背負い投げするか、格闘のイメージを膨らませながら、何度も何度も振り向いて見た。警戒に警戒を重ね20分程歩いただろうか。徐々に視界も開け、ようやく駐車場が見えてきた。熊に襲われることもなく、なんとか無事生きて帰ってくることができた。あーよかったよかった。ほんとによかった(安堵)。
雨足はどんどん強くなり、霧もどんどん立ち込めていたので、息つく間もなく足早に車に乗り込み、私たちは、この大菩薩嶺を後にした。
今日も本当にお疲れ様でした。色んな感情に揺さぶられた今回の旅。これもまた思い出の一つとして心に残りました。
ご清聴ありがとうございました。      

大菩薩バンザイ

最後もまた、ご褒美がありました。ありがとう☆      

ご褒美もも